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内外学界交流事業
わが国に留学或いは滞留して東方学・日本学研究に従事する外国人研究者を招待し、日本人研究者との間に研究発表と討議を行い、さらに見学・交歓パーティを通じて直接的な交流と国際親善の増進を図るために、1956年より国際東方学者会議を開催している。会期は毎年5月又は6月中の3日間とし、東京(東京会議)と関西(関西部会)で開催してきた。昭和58
(1983) 年度には本会が第31回国際アジア・北アフリカ人文科学会議 (CISHAAN) の主催団体となり、本会議はCISHAANに合流参加し、昭和61
(1986) 年度から平成16(2004)年度までは、国際アジア・北アフリカ研究会議 (ICANAS, 旧CISHAAN) 日本国内委員会と共催した。
平成7 (1995) 年度には創設40周年を迎え、英文名称を従来のInternational Conference of Orientalists
in Japan (ICO) から International Conference of Eastern Studies (ICES) に変更して現在に至っている。
また、平成11(1999) 年度開催の第44回会議からは、東京会議の日程を1日に短縮し、従来の公募による研究発表に替えて、海外学者を含む委嘱発表による最先端のシンポジウムやセミナーを中心にプログラムを編成している。
2020年に開催を予定していた第65回会議は新型コロナウイルスの蔓延により会議創設以来はじぇめて中止となった。2021年・2022年はコロナ禍であったが、Zoomによるオンラインで65回・66回会議を開催した。2023年度の会議は東京会議は5月20日(土)、関西部会は27日(土)に4年ぶりに会場における対面での会議を開催した(67回プログラム)。
2024年度は東京会議を5月18日、関西部会を5月25日に開催する。
外務省、国際交流基金、日本学術振興会、交流協会等の援助を得て、海外における東方学・日本学を専攻する著名学者および有力研究者を招聘し、ひろくわが国学界、専門研究者との直接交流を図っている。
近年では、上記ICESに科研費による招聘のほか、毎年5~6名の海外研究者を独自の費用で招聘している。2020年度以降、新型コロナウイルス蔓延のため、海外学者の招聘は出来ないでいる。
これまでの招聘学者は次の通り:
1971: ジャック・ジェルネ (パリ第七大学)
1973: A. F. P. フルスウェ (ライデン大学)
1974: ダグラス・ミルズ (ケンブリッジ大学)
1975: スパトラディット・ディスクン (シルパコーン大学)
1977: クリストフ・グラマン (コペンハーゲン大学)
1985: リオネッロ・ランチオッティ(イタリア中東亜研究所)、劉新園 (景徳鎮陶磁歴史博物館)
1995: ロミラ・ターパル(ジャワーハルラールネルー大学)、エーリク・チュルヒヤー(ライデン
大学)
1999: 彭浩 (湖北省荊州市博物館)
2000: 楊天石(社会科学院近代史研究所)、栄新江(北京大学)、呂芳上(中央研究院近代史
研究所)
2001: ジョン・W.チェイフィー (ビンガムトン大学 [ニューヨーク州立大学] )
2002: ロスティスラフ・リバコフ (ロシア科学アカデミー東洋学研究所)、張瑞徳 (中央研究院
近代史研究所)、彭敦文 (武漢大学)、王勇 (浙江大学)
2003: ケネス・ホール(ボール・ステート大学)、崔在穆 (嶺南大学校)
2004: 陳永發(中央研究院近代史研究所)、王奇生(社会科学院近代史研究所)
2005: アスコ・パルポラ(ヘルシンキ大学)、ロナルド・トビ(イリノイ大学)、南豊鉉(檀国
大学校)、黄純艶(上海師範大学)、王啓発(社会科学院歴史研究所)、周啓成(浙江
大学)、黄賢強(シンガポール国立大学)
2006: ニコライ・クラージン(ロシア科学アカデミー極東支部歴史考古民族誌研究所)、呉麗娯
(中国社会科学院歴史研究所)、ポール・ハリソン(カンタベリー大学)、スティーブン・
ウェスト (アリゾナ州立大学)
2007: ヨアヒム・ゲンツ(エディンバラ大学)、劉序楓(中央研究院人文社会科学研究中心)、
ケネス・ポメランツ(カリフォルニア大学アーヴィン校)、ホイト・ティルマン(アリゾナ
州立大学)、包茂紅(北京大学)、朴盛鍾(関東大学校)
2008: 孟彦弘(中国社会科学院歴史研究所)、陶思文(東南大学)、サラ・アラン(ダートマス大学)
2009: エヴェリン・ロウスキー(ピッツバーグ大学教授)、頼非(山東石刻芸術博物館研究員)、
バレンデ・テル・ハール(ライデン大学教授)、劉楽賢(首都師範大学)、葛暁音(北京大学)
2010: グエン・クオック・マイン(ベトナム南部持続発展可能院考古学研究所)、ミヒャエル・
ツィンマーマン(ハンブルク大学)、黄正建(中国社会科学院歴史研究所)、呂芳上(台湾
東海大学)、ハルオ・シラネ(コロンビア大学)
2011:ディラバット・ナ・ポンベジュラ(チュラロンコン大学)、ハリエット・ズンドファー
(ライデン大学)、クラウス・ザガスター(ボン大学)、ハルオ・シラネ(コロンビア大学)、
彭林 (清華大学)
2012: 黄征(南京師範大学)、リチャード・フォン・グラン(UCLA)、牛来穎(中国社会科学院歴史
研究所)
2013: ミヒャエル・ヴィッツェル (ハーバード大学)、スラット・ラートラム (タイ王立チュラ
チョムクラオ防衛大学校)、安大玉 (高麗大学校)、戴燕 (復旦大学)、南権熙 (慶北
大学校)、キム・ミンギュ (東北アジア歴史財団)
2014:アリスター・イングリス(シモンズ大学)、ドルジ・ワンチュック(ハンブルグ大学)、李連栄
(中国社会科学院民族文学研究所)、李錦繍(中国社会科学院歴史研究所)、張学鋒
(南京大学)
2015:朴銓烈 (中央大学校)、スヴェン・オスターカンプ (ルール大学ボーフム)、李零 (北京
大学)、グエン・ティ・オアイン (ヴェトナム社会科学院漢喃研究院)、金炫栄 (韓国国史
編纂委員会)、柳玟和 (釜山大学校)
2016:趙晶 (中国政法大学)、陳正宏 (復旦大学古籍整理研究所)、王振忠 (復旦大学歴史地理
研究所)、ヴォルフガング・シャモニ (ハイデルベルク大学)
2017:張小艶 (復旦大学出土文献与古文字研究中心)、朱秋而 (台湾大学)、申東源 (全北
大学校)、ステファノ・ザケッティ (オックスフォード大学)、サミュエル・モース
(アマースト大学)、孫歌(中国社会科学院文学研究所)、李胤錫 (延世大学校)
2018:オリバー・ワトソン (オックスフォード大学)、ロビン・イェーツ (マギル大学)、厳志雄
(香港中文大学)、雷聞 (中国社会科学院歴史研究所)、ミヒャエル・ツィンマーマン
(ハンブルク大学)
2019:ジョナサン・シルク (ライデン大学)、汪維輝 (浙江大学) 、アリシャー・ベグマトフ
(ベルリン・ブランデンブルグ科学・人文科学アカデミーリサーチフェロー)、フランツ・
グルネ (コレージュ・ド・フランス) 、畢波 (中国人民大学)、馮錦栄 (香港大学)、許宏
(中国社会科学院考古研究所)
2023:劉瑩(浙江大学)、李俼儒(台湾国家海洋研究院)
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内外学界における関係団体機関および研究者との間に、インフォメーションの提供と本会出版物の寄贈・交換を行っている。近年は、国内約280団体機関、海外約650団体機関に対し本会出版物を寄贈し、公刊資料の交換を求めている。
2008年2月、中国社会科学院歴史研究所から“日中学者中国古代史論壇(フォーラム)”共催の申し入れを受け、日中で交互に開催することを盛り込んだ5年間の交流協定を締結した。平成24年第4回論壇開催に当たり、5年間の交流延長協定を締結した。第10回会議は2018年5月19・20日東京で開催する。これまでの会議は下記の通り開催された。詳細については「日中学者中国古代史論壇」の頁参照。
なお、2019年より、「中国文化研究国際論壇」を交互に開催する5年間の交流協定を結んだ。中国社会科学院歴史研究所は2019年4月より中国社会科学院古代史研究所と改称された。
2020年に開催を予定していた第2回論壇は、新型コロナウイルスの蔓延により1年間延期されることとなった。
【日中学者中国古代史論壇】
第1回論壇 平成21(2009)年8月12・13日
会場: 中国社会科学院王府井招聘学者公寓(北京)
テーマ: 史料と中国古代史研究
参加者:日本側:11名(池田温会長、戸川芳郎理事長ほか)、中国側約50名。
第2回論壇 平成22(2010)年5月21日、会場: 日本教育会館(東京)、第55回ICESに併設
テーマは、魏晋南北朝期における貴族制の形成と三教・文学
参加者:中国側13名(卜憲群歴史研究所副所長ほか)、日本側:約150名
第3回論壇 平成23(2011)年9月17・18日、会場: 武漢大学珞珈山荘、
共催:武漢大学三至九世紀研究所
テーマ: 中国古代国家における秩序と地域社会
参加者:日本側9名(興膳宏理事長ほか)、中国側: 約50名
第4回論壇 平成24(2012)年5月25日、会場: 日本教育会館(東京)、第57回ICESに併設
テーマ: 中国出土資料学の新局面
参加者:中国側13名(卜憲群歴史研究所所長ほか)、日本側:約100名
第5回論壇 平成25(2013)年8月28・29日、会場:湖南大学岳麓書院
テーマ:地域文化と古代中国
参加者:日本側9名(興膳宏理事長ほか)、中国側:約20名
第6回論壇 平成26(2014)年5月24日、会場:日本教育会館(東京)、第59回ICESに併設
テーマ:中国史の時代区分の現在
参加者:中国側15名、日本側約80名
第7回論壇 平成27(2015)年8月18日、会場: 金龍潭大飯店、共催: 首都師範大学
テーマ:中国古代の科学技術と社会、歴史・文学・宗教の立場から展開する中国
古代史研究
参加者:日本側9名(池田知久理事長ほか)、中国側:約50名
第8回論壇 平成28(2016)年5月20・21日、会場:日本教育会館、早稲田大学大隈タワー
テーマ:中国史学の方法論
参加者:日本側約50名、中国側:12名
第9回論壇 平成29(2017)年8月25・26日、会場: 河南大学中州国際金明酒店、
共催: 河南大学
テーマ:東アジア社会と文化交流
参加者:日本側8名(池田知久理事長ほか)、中国側:約40名
第10回論壇 平成30(2018)年5月19・20日
会場:日本教育会館、早稲田大学戸山キャンパス33号館
テーマ:“学際化する中国学―中国学発展の方法論の探求”
参加者:中国側14名、日本側約50名
【中国文化研究国際論壇】
第1回論壇 令和元(2019)年8月30・31日
会場:厦門大学
テーマ:中国歴史文化の伝承と解釈
参加者:日本側9名(池田知久顧問ほか)、中国側約50面
第2回論壇 令和3(2021)年5月15・16日
オンライン開催
テーマ:中国文化の統一性と多様性
発表者;日本側7名、中国側17名
第3回論壇 令和4年8月25・26日
会場:西北大学歴史学院(西安)、ハイブリッド開催
テーマ:古代中国の制度と社会
日本側参加者7名(オンライン開催)
第4回論壇 令和5(2023)年5月20・21日
オンライン開催
テーマ:中国古代における軍事と国家統治
発表者:日本側8名、中国側10名
プログラムはこちらへ→
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平成23年度(2011)より、東洋学・アジア研究に従事する若手研究者の企画する研究会・シンポジウム・講演会等の開催を促進することを目的とし、その開催経費の一部を助成することとした。応募条件は、申請者が東方学会の会員で満45歳未満であること。助成は、1件5万円、年間10件以内。毎年12月末日締切で、2月の理事会で決定する〈実施要項〉。
平成24年度から、従来会員総会において行なってきた講演会・シンポジウム・研究発表と東方学会賞授賞式を秋季学術大会として開催するもので、東京・京都の両支部が毎年交互に開催している。令和2年度には新型コロナウイルスの影響でオンライン開催となった。令和4年度のプログラムは左記の通り。〈プログラム〉 令和5年度は東京支部主催のもと11月11日(土)日本教育会館で開催します。
東京・京都両支部は、来日著名学者の歓迎講演会・懇談会を随時主催するほか、関係団体機関とも共催してこれを実施している。
なお、外国人研究者の滞日中の研究活動を奨励・助成するとともに、専門を同じくする日本人研究者との交流の場を提供する趣意をもって、テーマに応じ内外研究者を招待し、セミナーを企画開催してきた。これまでに日本研究セミナー(歴史・文学)
は31回、中国研究セミナー (アジア政経学会と共催)は6回開催したが、諸般の事情から独立した企画としての開催は困難となっている。
現在では、来日中の著名学者の講演会を行うほか、国際東方学者会議(ICES)や秋季学術大会において、それぞれセミナー・シンポジウムを企画・開催している。
本会では、平成10年度より、東方学関係の論文、論文要旨、国際会議発表ペーパーの英訳と校訂 (ネイティブチェック)の有料サービスを実施している。本事業の実施については、「東方学関係翻訳・校訂サービス業務要領」に依拠し、ホームページや「東方学会報」を通じて案内を行っている。
(ご希望の方は、電話・Eメールで事務局〔河口〕までご連絡ください。)
国際アジア・北アフリカ研究会議(ICANAS)関係業務 |
1984年ICANAS日本国内委員会の発足に伴い、その事務局業務として第32回(1986年)ICANASから第37回(2004年)ICANASまで、それぞれの会議運営当局との情報の交換・サーキュラーの配布・参加者への助成・報告書の刊行等の業務を担当してきた。
2004年12月の同委員会解散後は本会がその業務を継承しており、2006年7月に設置された日本学術会議史学委員会IUOAS分科会のICANAS小委員会と連携し、ICANASに対応している(IUOAS分科会は2014年3月に廃止)。2007年には、第38回アンカラ会議の国内広報とともに参加旅行団を編成し、現地で取材と執筆依頼を行い、同年12月刊行の「東方学会報」No.93に会議の詳細を特集した。
日本学術会議東洋学研究連絡委員会の廃止決定を受けて、東洋学の民間のゆるやかな連合体として平成16年12月11日標記協議会が設立された。現在、39学協会(オブザーバーを含む)が参加しており、本会がその事務局業務を担当している。平成18年度には日本学術会議に「アジア研究委員会の設置に関する提案」を提出した。協議会としては、今後より多くの学協会の参加を呼びかけるとともに、ICANAS日本開催についても対応を協議している。
平成24年度からは、講演会「東洋学・アジア研究の新たな地平を切り拓く」、シンポジウム「東洋学・アジア研究の新たな振興を目指して」等を、日本学術会議アジア研究・対アジア関係に関する合同分科会の協賛を得て、継続開催してきたが、令和2年度は新型コロナウイルスの感染拡大によりシンポジウムは中止となった。令和3・4年度はオンラインで開催した(プログラム)。
中国・韓国・日本・越南の漢文体で撰述された重要な儒学典籍を網羅し校訂・解題を加えて出版する「儒蔵」編纂事業が、中国の国家的プロジェクトとして2003年12月に開始された。北京大学に「儒蔵」編纂中心(代表:湯一介教授)を設置し、2020年までに主な約5000部の刊行を目指す。その「儒蔵」編纂中心より本会戸川理事長に日本における儒学典籍の選定・校訂・解題の依頼があり、2007年9月に「儒蔵」日本編纂委員会が発足した。本会はその事務局を担うこととなり、委員会開催・文書発送などの便宜を図っている。
2013年には日本儒学史の代わりとして『日本中国学之発展』(倉石武四郎『本邦における支那学の発達』の中国語版)が刊行された。
平成14年 (2002) 4月に財団法人東方学会ホームページを開設した。逐次更新して内外学界に向けてひろく情報を公開している。
URL http://www.tohogakkai.com
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