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    シンポジウム「近未来の東洋学・アジア研究
     ―東洋学・アジア研究の新潮流― 」


日時:2022年12月3日(土)13時30分~17時30分
会場:東京大学法文2号館1番大教室
開会挨拶(13:30-13:40):
斎藤 明(国際仏教学大学院大学教授、東洋学・アジア研究連絡協議会会長)

総合司会:守川知子(東京大学准教授)
報告:
13:40-14:20
西田祐子(大阪大学招聘研究員):唐代における「羈縻」概念と「羈縻州」再考
    ―『新唐書』の再検討を手掛かりに― (資料)
14:20-15:00
福嶋亮大(立教大学准教授):中国現代思想の潮流―天下主義と本土主義― (資料)
15:00-15:40
内記 理(愛知県立大学准教授):文明の十字路からアジアを眺める
    ―ガンダーラの歴史と文化の研究から見えてくるもの― (資料)
15:40‐15:50 休憩
15:50-16:30
髙橋晃一(東京大学准教授):XMLによる仏教用語の語彙集の利活用
    ―バウッダコーシャの事例―
16:30-17:10
大塚 修(東京大学准教授):アラビア文字写本研究の新潮流と東洋学アジア研究
17:10-17:20
栗田禎子(千葉大学教授):日本学術会議「アジア研 究・対アジア関係に関する分科会」
    第25期活動より
17:20‐17:30 質疑応答
閉会挨拶(17:30):岸本美緒(お茶の水女子大学名誉教授)

※対面形式で開催する予定ですが、新型コロナの感染状況によってはオンライン会議に変更いたします。 変更時は、11月25日(金)までに東方学会HPにその旨を掲載し、またお申し込みのメールにご連絡いたします。
* 参加ご希望の方は、下記からお申し込み下さい。
  →参加申込
 
〔報告レジュメ集〕
西田祐子:唐代における「羈縻」概念と「羈縻州」再考―『新唐書』の再検討を手掛かりに―
 唐代史の分野では、唐帝国の統治体制を説明する際に、従来しばしば「羈縻」という概念を基本的なキーワードの一つとして取り扱ってきた。本発表は、こうした「羈縻」または「羈縻支配」「羈縻州」という概念や存在に対し、唐代史研究の基本史料である『新唐書』への詳細な分析を手段の主軸としながら再検討をおこない、唐代当時の「羈縻」が実際にはどのようなものであったのかを可能な限り明らかにしようとするものである。

福嶋亮大:中国現代思想の潮流―天下主義と本土主義―
 21世紀中華圏の思想はさまざまな顔をもつが、大きな傾向としては「政治的転回」が生じ、イデオロギー的な色彩が強くなったことが指摘できる。特に2010年代になると、中国では一帯一路構想が提唱され、香港では中国化に反発する動きが鮮明になった。政治的現実がいっそうシビアなものになってゆくなか、思想はどこに向かうのか。本発表では中国の天下主義および香港の本土主義を両極としつつ、それらの思想史的な位置づけについて、大まかな下絵を描くことを試みたい。

内記 理:文明の十字路からアジアを眺める―ガンダーラの歴史と文化の研究から見えてくるもの―
古代以来、文明の十字路としての役割を担ったガンダーラ(現在のパキスタンおよびアフガニスタンの一部)の歴史と文化を研究することは、日本を含む東アジアの歴史と文化を理解する上でも重要である。本発表では、ガンダーラで生み出された、ガンダーラ仏教彫刻やカローシュティー文字に着目し、それらに対する分析が、より東方の地域における歴史と文化の理解にどのように影響するかについて、具体例を交えながら紹介する。

髙橋晃一:XMLによる仏教用語の語彙集の利活用―バウッダコーシャの事例―
仏教学では電子テキストを作成することは当然のことになっている。しかしながら、こうした電子テキストの多くは、単純な文字列で構成されており、電子テキストの利点を十分に活かしているとは言えない。コンピュータで処理することを前提に電子テキストを構築する場合、XMLを用いることで、応用の幅は格段に広がると考えられる。本発表では、仏教用語の用例集であるバウッダコーシャのデータ構築を例に、XMLによるテキストの電子化の意義と今後の展望について考える。

大塚 修:アラビア文字写本研究の新潮流と東洋学アジア研究
  報告者が研究を志した頃、世界各国の図書館に所蔵されるアラビア文字史料の写本にアクセスすることは難しく、写本を研究に用いることは一般的ではなかった。しかし、ここ20年間で写本研究をめぐる環境は大きく変わった。特に、近年の写本のデジタル化とオンライン公開の促進は写本へのアクセスを容易にし、写本を用いた研究が数多く世に出されるようになっている。本報告では、報告者の研究を事例に、アラビア文字写本研究の意義と問題点について考察したい。


問い合わせ:東洋学・アジア研究連絡協議会事務局 (一般財団法人東方学会内:
  千代田区西神田2-4-1、Tel.03-3262-7221、E-mail: iec@tohogakkai.com)